MY BROTHER




…その小さな命がやってきた日から、幼子達は毎日それを眺めていた。
切り揃えられた銀髪と、大きな青い瞳。
そして双子故に瓜二つの顔をした、青と赤色違いの服を着た兄弟は、少し背伸びをしてベッドを囲う格子に捕まり並んで、朝も昼も夜寝るまでもそこに張り付いていた。
幼い自分達よりもさらに小さな小さな…そのベッドにすやすやと寝ている赤ん坊を見る為に。
「…あかちゃんっていうんだって、ばーじる。」
格子越しに眠る赤ん坊を見ながら、横に並んだ双子の、赤いシャツを着た幼子が、隣りの青いシャツを着た幼子…バージルにそう呟くと、バージルも赤ん坊を見ながら小さな声で話す。
「あかちゃんで『いもうと』なんだぞ、だんて。」
寝ている赤ん坊を起こさないように、ひそひそとバージルが隣りにいる赤いシャツの幼子…ダンテにそう言うと、ダンテは少し考えてから、
「あかちゃんのいもうとも、いっしょにさっかーできるかな?」
と、また呟いた。
それにバージルは、ダンテと赤ん坊を何度か見比べてから、
「いもうとはおんなのこだから、まもってあげなさいって、かあさんがいってた。」
と言って、また赤ん坊を見始める。
産まれたばかりの妹を飽きもせず見ながら、双子がひそひそと妹の事を話していると、眠っていた妹が起きて不意に泣き始めた。
…泣いている妹に驚いて、大きな目をさらに大きく開いた双子が、慌ててベッドから離れて走っていく。
そして台所へやってくると、そこで子供達のおやつを作っていた母親のスカートの裾を引っ張って、二人は同時に母親を見上げた。

「かあさん!あかちゃんないてる!」
「あかちゃんおきた!おきた!!」
「あらあら、大変。」

妹の一大事とばかりに自分を呼びにきた双子に、母は穏やかな笑顔を浮かべながら、双子と一緒にベビーベッドへ向かう。
「どうしたの?…あぁ、お腹が空いたのね。」
鈴を転がすような声で優しく語りかけ、腕に抱いた赤子のをあやしながら、母は準備をしておいたミルクの入った哺乳瓶を手に取る。
それをお腹が空いて泣いているに与えようとした時に、自分の足元でその様子をじっと見上げている双子に気づいた母は、を抱きながら座って二人に微笑んだ。
「バージル、ダンテ。二人でにミルクあげてみる?」
…いつも母の傍で見ているだけだった事をさせて貰えるとわかった瞬間、双子は笑顔で目を輝かせてうなずいた。
そしてどちらが先にするかケンカになり、ジャンケンで決めなさいという母の一言で、ジャンケンに勝ったバージルが母から哺乳瓶を受け取った。
少し緊張した面持ちで、母に手伝って貰い、バージルはを抱く。
温かい体を小さな腕で支えながら、バージルがにミルクをあげるのを、彼の隣りからダンテも覗き込む。
…自分が持った哺乳瓶から、んぐんぐと美味しそうにミルクを飲むを、バージルは瞬きも忘れてじっと見つめる。
隣りでダンテが早く代われと騒ぐのも聞こえていないようで、バージルが硬直している間に、はすっかりミルクを飲み干してしまった。
「はい。ありがとう、バージル。」
からっぽになった哺乳瓶を受け取り、お腹いっぱいになったを抱いて、母は優しくバージルの頭を撫でる。
も、お兄ちゃんにミルク飲ませて貰ってよかったわねぇ。」
トントンとの背中を軽く叩きながら母が言った『お兄ちゃん』という言葉に、バージルが驚いた顔をする。
それをずっと見ていたダンテが、拗ねて頬を膨らませた。
「ばーじるばっかりずるい!!」
小さな足で地団駄を踏んで、自分もやりたい!と駄々をこねるダンテにも、母は優しく微笑む。
「それじゃあダンテは、の背中をトントンしてあげて。」
ダンテの肩にガーゼを乗せてを抱かせると、母はの頭を、ガーゼを乗せたダンテの肩に置く。
自分よりほんの一回り小さいを抱いて、母の言う通りにダンテが彼女の背中をしばらくトントンと叩いていると、不意にけぷっと音がした。
「はい。もう大丈夫よ、ダンテ。」
ミルクの後のげっぷも済ませ、またすやすやと眠り始めたをじっと見つめているダンテから抱き上げて、ベッドに寝かせた母は、微笑みながらダンテの頭を優しく撫でた。
「ありがとう、お兄ちゃん。」
母から『お兄ちゃん』と呼ばれたダンテはしばらく固まり、双子の兄弟はゆっくりとお互いの顔を見る。
オレたちおにいちゃん。
くすぐったいような照れくさいような…だけど何だか凄く嬉しいその言葉にこの日、双子に兄としての想いが芽生えたのだった。



それから数年。はすくすくと成長していった。
首が座ってハイハイが出来るようになったら、バージルとダンテがどっちへ来るか呼び合ったり。
つかまり立ちで倒れそうになるのを、二人で慌てて支えたり。
立って歩けるようになったらまた、どっちに来るか競争したり。
あーうーと話すようになったら、今のはダンテと言った、いやバージルだとケンカをし…そんな家族に見守られて、は三歳を迎えた。



は画用紙にクレヨンでお絵かきをしながら、兄達の帰りを待っていた。
兄達は、友達とサッカーと、本がたくさんある図書館に出かけていて、は描いた絵を時々母に見せたりしながら遊んでいたのだが、やはり一人ではすぐに退屈になってしまう。
「バーじゆにぃたんは~?」
手にクレヨンを持ったままが、図書館へ行った兄の事を母に聞く。
すると母は優しく笑って、「もうすぐ帰ってくるわよ。」と答えた。
母の返事にしばらく考えた後では、
「だんてにぃたんは~?」
と、今度は友達とサッカーをしに行った兄の事を聞く。
それに母はまた微笑みながら、「おやつまでには帰ってくるわよ。」と答えた。
それを聞いて、はまたお絵かきをしながら、兄達が帰ってくるのを待つ。
「ただいま。」
…それからしばらくして帰ってきた、どちらかの兄の声を聞いて、はクレヨンを放り出し、玄関へと走っていく。
「バーじゆにぃたんおかえりー!」
声を聞いただけで、図書館から帰ってきたバージルだとわかったが玄関まで走ってきて、嬉しそうな笑顔で出迎えた彼女の頭を撫でて、バージルはもう一度とただいまと言って笑う。
そして、手に持っていた一冊の本をに見せた。
が好きそうな絵本を借りてきたんだ。後で読んでやろうな。」
「ほんとー!わーい!」
バージルに絵本を読んで貰うのが好きなは喜んで、彼の後ろを引っついて母の所へ戻る。
「みてみて!がかいたの~。」
帰ってきた兄に早速自分が描いた絵を、は嬉しそうに見せる。
「そうか。上手だな、。」
それを誉めてバージルがの頭を撫でてやると、彼女は照れてはにかんだ顔を画用紙で隠した。
「んとね~、こっちがバーじゆにぃたんで~こっちがだんてにぃたん!」
かろうじて顔に見えるクレヨンの絵を笑顔で誉めてやり、がよそ見をした瞬間に、バージルはこっちがダンテだと彼女が指差した絵にこっそりとヒゲを描き足した。
そうしてしばらく二人で遊んでいたのだが、もうすぐおやつの時間になっても帰って来ない、サッカーをしに行ったダンテを気にして、がそわそわとし始める。
…台所からは母が作るおやつの甘い匂いが漂ってきて、は立ち上がってバージルの腕を引っ張った。
「バーじゆにぃたん、だんてにぃたんのおむかえいこー。」
自分と一緒で母のおやつが大好きなダンテを迎えに行こうと言うに、しかしバージルはしかめっつらで動かない。
「ほっといてもそのうち帰ってくるよ。」
「やー!だんてにぃたんもおやついっしょなの!」
…はやくはやく!と一生懸命に腕を引っ張るに負けて、バージルは渋々彼女とダンテを迎えに行った。



アシストされたボールを蹴って、ダンテがシュートを決めた時、バージルと手を繋いで広場へとやってきたが彼を見つけて、嬉しそうに駆け出した。
「だんてにぃた~ん!」
呼ばれて彼女に気づいたダンテも笑顔を浮かべて、駆け寄ってきたを抱き上げる。
「なんだよ。遊びに来たのか?」
やってきた妹に頬を緩ませて、ダンテはたかいたかいをしながらに聞く。
それにはきゃっきゃとはしゃぎながら返事をした。
「おやつたべるのおむかえきたの!」
「あっ!すっかり忘れてた…よしっ!帰って兄ちゃんと食べような♪」
丁度切りよく試合も終わったところで、友達と手を振って別れた後、ダンテはと手を繋いで広場を出ていく。
するとバージルがむくれた顔で彼らを待っていて、その姿を見つけたダンテが思わず足を止めた。
「げっ…バージルもきてたのかよ。」
「来たらわるいか?一人で行かせるわけないだろう。」
そう言ってのもう一方の手を握ったバージルに、ダンテは唇をとがらせて頬を膨らませる。
しかしは兄二人に手を繋いで貰って、にこにこと笑顔で歩いていく。
そんな彼女を見ていたダンテが、何とは無しに尋ねてみた。
「なあなあ、はだれが一番好きだ?」
ダンテのその質問に、は満面の笑顔で元気いっぱいに答えた。
「おかーたん!」
…期待した答えじゃなかったけれど、まあそれは自分も同じだからと納得したダンテは、もう一度に聞いてみる。
「じゃあ二番目に好きなのは?」
「おとーたん!」
またまた元気いっぱいに言い切ったに、ダンテと二人のやり取りを聞いていたバージルも、がくりと肩を落とした。
…こうなると、次のの答えが最も大切なものになってくる。
「じゃあ…母さんと父さんの次に好きなのは?」
の返事を待つ双子が、それは自分だと主張するように彼女の手を握る。
そんな兄達の気持ちなどつゆ知らず、は最後も元気いっぱいに言った。

「バーじゆにぃたんとだんてにぃたん!」

…二人して三位に選ばれてしまい、またがくりと肩を落としたバージルとダンテは、と三人で手を繋いで家へ帰った。



「ただいま。」
「ただいまー。」
「ただいまー!」

帰ってきた子供達の声に出迎えた母が、三人ににっこりと笑顔を浮かべる。
「お帰りなさい。おやつがあるから、先に手を洗っていらっしゃい。」
母の言葉に返事をして、三人はどたどたと洗面台へ走っていく。
順番に並んで、先にバージルが手を洗うと、次にダンテが土まみれの手を洗う。
「だんてにぃた~ん。」
荒い終わった手をダンテがタオルで拭いていると、足元にいたが彼のズボンを引っ張った。
もおててあらう~。」
「オッケー、まってな。」
蛇口を捻って水を出した後、ダンテは洗面台に届かないを抱き上げてやる。
「届くか?。」
「んっ!」
ダンテに蛇口へ近づけて貰い、はじゃぶじゃぶと手を洗う。
「ちゃんとセッケンで洗うんだぜ。」
「あい!」
は小さな手でポンプを押して、ハンドソープを泡立てて水で流し、今度はタオルの所までダンテに運んで貰って、洗い終わった手をタオルで拭いた。
「よしっ!おやつ食おうぜ!」
「わーい!」
二人がリビングへ行くと、先にいたバージルがおやつのプリンをテーブルへと運んでいた。
それを見たがバージルに駆け寄る。
も、も~。」
自分もおやつを運ぶと言って腕を伸ばすにちょっと困ったが、バージルはプリンが乗ったお皿を彼女の両手に持たせてやった。
「気をつけるんだぞ、落ちるから。」
「あいっ。」
両手で持ったお皿の上でぷるぷると揺れるプリンを見つめながら、は落とさないように真剣な顔で、ゆっくりとプリンを運ぶ。
…しかしプリンばかり見ていたは、片付け忘れたおもちゃに気づかず、足を引っ掛けてしまった。
転びそうになったはバージルが慌てて支えて無事だったが、転んだ拍子にお皿から滑ったプリンが床に落ちてしまった。
「…っ!!」
床で崩れてしまったプリンに、の顔も泣き出しそうに崩れる。
「ふぇ…おかーたんのぷりん…」
「だから気をつけろって言っただろう…?」
「ぐすっ…ごめんねごめんね…」
ぐすぐすと泣くをバージルが宥めていると、その泣き声を聞いた母が床に落ちたプリンを見て、二人の傍までやってきた。
「あらあら…落としちゃったのね。」
「おかーたん…ごめんね…ごめんね…」
「ほら、もう泣かないで。あぁでもどうしましょう…もうプリンの材料が無くなってしまったわ…」
泣いて謝るの頭を優しく撫でる母だが、新しいおやつがもうない事に、困った顔で呟く。
それを聞いたバージルが母に言った。
「おれの半分あげるよ。ほら、行こう。」
片手に自分のプリンを持ち、空いた手での手を引いて、バージルはテーブルへと向かう。
するとそこには、先に自分のプリンを運んだダンテが、椅子に座って待っていた。
先にを子供椅子に座らせてやり、バージルは彼女隣り…ダンテの前の椅子に座った。
「あれ?のプリンないじゃん。」
「さっき落としたからおれの半分あげるんだ。」
やっと来た二人の前にはプリンがひとつしかなくてダンテが尋ねると、バージルがそう答えてスプーンに掬ったプリンをに差し出した。
大きく口を開けてバージルに食べさせて貰ったは、もう泣き顔ではなくにこにこと笑顔を浮かべて、美味しそうにプリンを食べる。
「バーじゆにぃたん、ありがとー!」
おやつを分けて貰って嬉しそうなにバージルも笑って、一緒にプリンを食べる。
…それが何だか羨ましくて、ダンテも自分のプリンを持ってきて、の隣りに座った。
「ほら、オレのもやるよ!」
「わーい!ありがと、だんてにぃたん!」
ダンテからもプリンを食べさせて貰って、は満面の笑顔をダンテに向ける。
仲良くおやつを分け合う子供達をほほえましく思いながら、母は落としてしまったプリンをさっと片付けた。



夜のベッドの中。眠りに落ちるまでの少しの時間…それはバージルに絵本を読んで貰う、大好きな時間。
子供部屋のベッドの中、バージルが読む絵本に聞き入っているの隣りで、ダンテは退屈そうにあくびをする。
しかしやはり睡魔は、一番幼いへと先に訪れた。
まだバージルの話が聞きたくて、はうとうとと重いまぶたを一生懸命に開けようとする。
しかしダンテの手が頭を撫でてトントンと小さな背中を叩くと、我慢出来ずには夢へと旅立った。
が眠った事に気づいたバージルが隣りを見ると、彼女の背を叩いていたダンテも一緒に寝てしまっていて、バージルは本にしおりを挟んで明かりを消す。
そして、の手を握ってバージルも目を閉じると、三人は仲良く川の字で眠りについた…



…そんな有り触れた日々が、硝子のように砕けたのは、それからまた数年経った…あの日。
母に匿われた(かくまわれた)暗闇の中で三人は、ただ震えて外の物音を聞く。
怯えたが泣き出さないように…自分達の恐怖に耐えるように…兄達は妹を抱きしめて、怪物の声に震えながら息をひそめる。
そして、ようやく静かになって恐る恐る外へ出た子供達の前には、それまで在ったもの、全てが失くなっていた。
家も町も母も…たった数時間前までは、在って当たり前だったものが、何一つそこにはなかった…
…呆然と立ち尽くしていた子供達の目に、涙が浮かぶ。
兄弟の兄は唇を噛み締めてそれを堪え、弟はしゃっくり上げながら溢れる涙を手で拭く。
しかし、妹の泣き声を聞いた瞬間、兄達ははっと息を飲んだ。
ここに残ったのは、妹と自分達の三人。
母が命を賭して繋いでくれた命。最後の…家族と呼べる命。
「…大丈夫だ、。」
「兄ちゃん達が一緒にいるからな…」
母も、父も、もういない…だから自分達が、妹を守らなければ…兄なのだから…
初めに芽生えたその想いを、さらに強く心に誓い、兄弟はきつく身を寄せ合った。



「…てぇ訳なんだ。」
どこにでもあるファミレスの一席で、ダンテはストロベリーサンデーを突きながら、目の前に座る少年にそう言って笑いかけた。
しかし少年は彼の笑顔に萎縮した体をますます縮める…
「俺達にはあいつを幸せにする責任がある。故にその相手とも、一度会っておこうと思った訳だが…」
…何やら顔色の悪い少年に、今度はダンテの隣りに座るバージルが静かにそう言って熱いコーヒーを啜り彼を見ると、少年は青白い顔でふるふると震え出した。
以前から、彼女には二人の兄がいる事は聞いていた。
その兄達が自分に会ってみたいと言っていると聞いた時、少年は、渋る彼女に器が大きいところを見せようとそれを快諾した。
あわよくばここでその兄達に気に入られて、彼女ともっと親密な仲になれたら…なんて期待して。
そしてのこのこと彼らの前にやってきた少年は、『十年早い』という言葉の意味を、身をもって味わっていた。
まず、彼女の下の兄であるダンテという男。
話し方は気さくで、終始笑顔だが、目が笑ってない。絶対笑ってない。
そして彼女の上の兄である、バージルという男。
彼はいるだけでなんか怖い。本当に怖い。
しかも二人共、物凄い存在感と威圧感を全身から放っていて…絶対堅気じゃない…
…彼女が化粧室へ向かってから、ずっとこんな二人の前にぽつりと取り残された少年は、まさに蛇に睨まれたカエルだった。
「…あいつと一緒にいようって事は、当然…覚悟してんだよな。なあ?」
友好的と言えそうな笑顔でダンテに尋ねられ、少年は思わずびくりと身を竦める。
腕を組んだバージルと、テーブルに頬杖をついて不敵に笑っているダンテは、少年を真っ直ぐに見据える。
その眼力に少年は、ごくりと唾を飲み込んだ。
…自分なんかがどうにか出来る相手じゃない。
「おまたせ~♪」

少年が白旗を上げた瞬間、席を立っていたが戻ってきた。 彼女の顔を見た途端、ほっとしたと同時に、少年は慌てて席を立つ。
ちゃんごめん!俺、急用思い出したから俺、帰るね!」
「えっ…!あっ、ちょっと…!!」
「ホントごめん!すみませんでしたーーー!!」
…転ぶように逃げていった少年に、しばらく呆気にとられていたが、じと~っとバージルとダンテを睨む。
「ちょっと~…私がいない時になんか言ったんでしょ!?」
少年のあの怯え様は兄達のせいだとが問い質しても、ダンテは何食わぬ顔でストロベリーサンデーを掻き込み、バージルは素知らぬふりでコーヒーを口に運んでいる。
「別に~?」
「何も言っていない。」
普段は全く合わない口ぶりを揃えてうそぶく双子の兄達に、はどしりと彼らの前に座って腕を組む。
「何にも言ってないのに何であんなに怯えて帰ってくの!ちゃんと仲良くするって言うから連れて来たのにー!」
ごまかしも効かないくらいご立腹なに、白を切るのは無意味だと悟った二人は、彼女に向き直った。
「あれぐらいで逃げ出すなんて、大したヤツじゃねぇよ。やめとけ、やめとけ。」
と言って、ダンテは手をひらひらと振り、
「色恋沙汰など、おまえにはまだ早いという事だ。」
と言って、バージルは悠々とコーヒーを飲み干した。 …そんな兄達の態度に、はわなわなと手を震わす。
「もーーーっ!!だからおにぃ達に会わせるのイヤだったのよーーー!!」

…その後、の兄達はヤクザだマフィアだという噂が広まり、拗ねて部屋に閉じ篭る妹に溜め息をつく双子の姿があった。





御礼

「華と修羅」マオ様から14万打のお祝いに頂いてしまいました…!!

子双子の天使っぷり、…撃沈しました。もうほんとに愛らしすぎて…ママも優しくって…しあわせな光景がありありと目に浮かんで泣きそうでした。
時は移って、ヤクザだマフィアだと噂されるほどの鉄壁ガードを見せるおにぃ達にもめろめろですvもうおにぃ達が彼氏でいいです!本当に本当に本音です!(殴)

マオ様、素敵なおにいちゃん達をどうもありがとうございましたーーー!!!
一生大事に預からせて頂きます!!!