みんなで わかちあう たのしい ひととき。


Game of Love



弐天童「Devil Crossing」、邦題「おいでよ かいじゅうの森」。
このスローライフゲームに、こともあろうに大人4人(それも半魔×二人含む)が今まさに、ハマっている。

「あーっ、もうっ」
がDSLite(ノーブルピンク)を片手に叫んだ。
何事か、といつもの面々が集まる。
「どうした?」
の持つDSの小さい画面を覗き込んで来るバージル。
ふたりが至近距離で顔を寄せ合う格好になるのは、この際仕方がないことだ。
「うちの『ひだまり村』、カブがジリ貧で終わりそうなの……」
「土曜午前で56ベル?完全にジリ貧だな」
「あぁ~1000カブも買ってあったのにぃ」
がっくりと肩を落とす
バージルが自分のエナメルネイビーをおもむろに開く。
「ふっ、俺はどうやら高騰のようだな、
「えっウソ」
「見てみろ」
が見せてもらうと、確かにたぬきちが「485ベルだなも」と言っている。
「うわ~んズルい!」
半分本気で涙目のにバージルが、にやりと笑った。
「俺の『まかい村』来るか?」
「行ってもいいの?」
「条件がある」
真剣な目のバージル。
はごくりと唾を飲んだ。
「……ぎ、玉座?」
玉座は滅多なことでは入手できないレアアイテムだ。
が持っていて、バージルはまだ持っていないことは周知の事実だ。
だがしかしそうではなかったようで、バージルは盛大にため息をついた。
「……そんな色気のない物ではない」
「色気?」
がこちんと背中を固まらせる。
イヤな予感。
バージルが再びにやりと笑みを唇に乗せる。
「そうだ。キ」「オレの『クール村』に来るか
バージルの台詞にダンテが割り込んだ。
手には、しっかりとジェットブラックの本体。
ホッと胸を撫で下ろし、がダンテを振り返る。
「ダンテ!いくらなの?」
「396ベルだ」
「しけた額だなダンテ。やめておけ
「あんたは黙ってろよ。、どうすんだ?」
「どうするんだ、って……ダンテの条件は何?玉座?」
ダンテがため息をつく。
「ハズレ。それにキスでもない」
「じゃあ……?」
小首を傾げたに、ダンテが不敵に笑った。
「ストロベリーサンデーで手を打とう」
が吹き出した。
「ダンテは色気より食い気だね」
その言葉に、ダンテがむくれる。
「オレはバージルのようにに嫌われたくねーからな」
「おい!」
バージルが声を荒げる。
「だいたい何だ、クール村などと暖かみの欠片も感じられない、品のない名は」
「うるっさいな!っつか、あんたのまかい村よりマシだろ!?」
二人がぎゃんぎゃん喧嘩する横、そんな風景にもすっかり慣れたがDSと睨めっこする。
「どうしよっかな、ダンテにお願いしようかな」
が腕を組んだとき。
。私の『カリーナ村』に来ない~?」
今の今まで、静かにクリスタルホワイトの機体を見つめていたレディが声を上げた。
「ンだよ、レディんとこも高騰?」
「いくら?いくら?」
わくわくと画面を覗き込んで来るに画面を示し、レディは彼女が見やすいように身を引いた。
「184ベルだよ」
「安ッ!波型のフツーの額じゃねーの?」
ダンテが悪態を吐く。
レディは横からのヤジに負けず、をしっかり見つめた。
「条件、だけどね」
「……うん」
だけでなく、バージルもダンテも息を詰める。
DSのワイヤレス通信。
何と言っても、がカブを売却しに来ている間、ずっと彼女の側にいることができるのだ、誰にも文句を言われることなく!
それもこれも、レディの条件次第。

「条件は……ないよ!」

「「「え?」」」
見事に三人の声がハモった。
「ないって……ホントに?」
が目を丸くする。
「うん。だってダンテが言ったように、大した額でもないしねー」
「うわ……ありがと、レディ」
「どういたしまして。すぐ開門するよ」
「わ~、カブ取ってくるね♪」
早くも女子二人はDSを中心に至近距離で戯れている。
それを面白く思っていないのが、バージルとダンテ。
二人の周りには、ゲームよろしく『どよんどよん』という効果音とともに、黒い渦巻き模様が漂っている。

(カブ価が600越えする裏技はないのだろうか・・・)
(どんぐりはのために手元に残しておいた方がいいな)

声には出さないが、各自、いろいろな思惑を胸に、ゲーム機をいじる。
「あ、そうだ、。この前うちの村からパッチが引っ越してったから、多分そっちに行くよ」
「きゃー!パッチかわいいよね!ありがとレディ!!」
更にとレディは盛り上がっている。
「パッチがなんだよ!うちのブーケをやるからこっち来い!」
「貴様、ブーケは永住決定とか言ってなかったか?」
「うるせーバージル!」
「ねぇねぇ」
不毛な戦いを尻目に、が微笑んだ。
「リリアンでしょ、チーフ、3ごう、キャラメル、ピータン、ロボ。それにパッチにブーケが揃っちゃったら、わたしの村、最強じゃない?」
にっこりと花のような笑顔を見せるが最強。
計らずも、他3人は同じことを同時に思っていた。



悪魔退治とは無関係、何とも平和な、うららかな午後のことである。







→ afterword

大の大人たちがDSを手にわいわいしていたら…しかもそれが悪魔な双子だったら。
とことんギャップを目指しました。それにしても「まかい村」はひどすぎr
我がDSのどうぶつの森には、バージルもダンテもおります。(笑)

お読みいただきまして、ありがとうございました♪