Wine and Dine




とある日、事務所にて。

「うーん……」
「……」
「なぁ」
「何だ」
「ただ考えてたって、ムダじゃねぇか?」
「考える以外に何か方法があるのか?」
に直接聞く」
「それこそ愚の骨頂だ」
「けどよ!いつも一緒にいるのに、今さら感謝の気持ちを〜なんて、ハードル高すぎんだろ!そんな気が利けば、普段こんな迷惑かけてねぇし」
「確かにな……だが、色々あるだろう?」
「例えば?」
「いつも美味い食事を有難うとか、掃除を任せてすまない……とか」
「……あのなぁ、それじゃただの母の日だろ?」
「!」
「結局オレらは、どう足掻いても双子だっつーことか……」

「ただーいまー」

「帰ってきたか」
「とりあえず……あんたのアレだ。アレはあいつも好きなはずだ」
「しかし、アレはだな」
「ただいま!どうしたの、またケンカ?」
「いや、何でもないぜ!な、バージル」
「あ、ああ。そうだ、今夜の食事だが……」
「バージルが、秘蔵のワイン開けるってよ!」
「え!?ストックしてあったアレ?嬉しい!実はちょっと狙ってたんだよね。いいの?バージル」
「…………ああ。構わない」
「よかったな!」
「うん!だけど……」
「どうかしたか?」
「ん……せっかくのワインに見合うお料理、作る元気ないかな……。実は、仕事でくたくたなんだ。週末じゃだめかな?」
「「!」」
「ごめんね?週末はローストビーフとか作るから!」
「その必要はない」
「え?」
「今夜はダンテの奢りで、QueenMary号でディナーだ」
「!?」
「ほんとなの、ダンテ?」
「あ、あぁ!夜景も綺麗だし、最高だろ!」
「俺のワインも持って行けばいいしな」
「わぁ、夢みたい……嬉しいよ!」

「(まぁ)」
「(結果オーライ?)」

「でも、ワインといい外食といい、今日って何かあったっけ?」
「……その、なんだ。」
「日頃の感謝、ってヤツ?」







→ afterword

拍手お礼ページに載せていたショートストーリー、第二弾でした。
ここで書いたQueenMary号は、実際にアメリカ・カリフォルニア州のロングビーチにある、タイタニックみたいな船です。
中のレストランでは、目の前に広がる海と夜景を楽しみながら食事できます。味はともかく(え)、雰囲気に浸るには最高にオススメです!ワインを持ち込めるかどうかはこのお話の捏造ですが;
私が行ったのはセスナでプライベートフライト+クイーンメリーでディナーのツアーで一人150ドルくらいでした。今はもうちょっと値上がりしてそうですが、ものすごくおすすめです!
双子とこんなロマンティックなディナーが出来たら、もう人生に悔いなしです!!

ここまでお読みくださいまして、ありがとうございました!