「わぁ、おいしそうなロゼワイン!」
見た目も可愛らしいピンク色のワインだ。
けれど、自分が買った覚えはない。
「バージルが買ってくれたのかな」
二日前に買い出しに出かけたとき、クリスマス用にあけるワインはちゃんと選んだのだが。
「ま、いっか」
ボトルを持ち上げ、ラベルを見てみる。
甘いとの表記には嬉しくなった。
「んー、本当においしそう」
じっと見ていれば、吸い込まれそうになるほど綺麗な色。
「……。」
一度テーブルにボトルを置き、そしてまた持ち上げる。
「……一杯くらい、いいよね」
バージルはまだ帰って来ない。
見つかったとしても、呆れながら最後は一緒にグラスを空にしてくれるだろう。
「いただきまーす」
コルクを抜く。
ととととっとグラスにワインを注げば、ふわりと気品ある香りが立ち上る。
「これ、すごく高そう」
ワインには詳しくないが、それくらいは何となくわかる。
そっとひとくち含めば、
「……おいしーい!」
軽やかな口当たりと、飲みやすい甘さが舌に溶ける。
感動しながらこくこく味わううち、すぐに一杯目を飲み干してしまった。
は、

ボトルの中身を全部空けた。
ボトルをワインクーラーへ戻した。